
前ウルグアイ大統領のホセムヒカ氏が来日しています。
7日に東京外国語大学で行われた池上彰さんとの対談は、翌日特番として放送され大きな反響があったそうですね。
残念ながら当日の講演やテレビ放送をみることが出来なかった人(筆者含む)のために、今回の記事では対談の内容をダイジェスト版としてお送りしたいと思います。
ネット上から情報を収集してきたため、内容が多少ちぐはぐになっていますがご了承ください。
池上彰さんからの質問「絵本の題名は世界一裕福な大統領ではないのか?」
ホセムヒカ氏は、2012年にリオデジャネイロで開かれた国際会議でスピーチをしているのですが、その内容が素晴らしかったこともあって、日本では『世界で一番貧しい大統領のスピーチ』という題名で絵本になっていました。
スピーチの内容については こちらの記事から
ところが、もともとこの本は『世界で一番豊かな大統領』という題名で売り出されるはずだったと二人の対談の中で明らかにされています。池上彰さんはこのこと関して、ホセムヒカ氏に話を振ります。
池上氏「出版社が販売戦略上、このような名前(世界一貧しい大統領のスピーチ)をつけたのでしょうかね?」
ホセムヒカ氏「まったく同感です。貧しい男にさせられてしまいました。実はとても豊かなんです。」
ホセムヒカ氏は大統領としての報酬の8割を寄付し、自身は日本円にして10万円ほどで暮らしていたというエピソードから、貧しい大統領ということで知られています。
しかし、ホセムヒカ氏自身は自分が貧しいとは思ったことはないそうです。そこには、「貧乏とは、いくら物があっても全然満足出来ない人を指すのだ」というホセムヒカ氏の考え方があったからでした。
きっとホセムヒカ氏は、月10万円の暮らしであっても「満ち足りた気持ち」で生活していたのでしょう。だからこそ、 「世界一豊かな大統領」として知ってもらいたかったのかもしれません。
池上彰さんからの質問「ゲリラ活動時に刑務所に入れられて、人生に挫折はなかったのか?」
ホセムヒカ氏は若い頃に左派(社会主義を目指す人達)としてゲリラ活動を行っていたのですが、警察に捕まり刑務所に入れられたことがありました。
その時の心境を池上氏が問いかけます。
池上氏「刑務所に入れられて、自身の理想や人生に挫折したのではないですか?」
ホセムヒカ氏「そうですね。でも人生が教えてくれたのです。不可能に挑むのはそれなりの犠牲を払うものだと・・・。だから粘り強く戦い続けなければならないということを学びました。」
ホセムヒカ氏はこのようにも語っています。
人生で最も重要なことは、勝つことではありません。最も重要なのは「歩み続ける」こと。
これはどういうことなのか、それは、何度転んでも起き上がること。打ち負かされても、もう一度やり直す勇気を持つことです。
軍事政権下では14年に及ぶ刑務所生活をしていたからこそ、このような考えに至ったのかもしれませんね。
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池上彰氏の質問「日本では一番欲しいものとして、時間が挙げられていますが、このことに関してどう思いますか?」
「今、一番欲しいものは?」というアンケートで、日本人の多くが「時間」と答えたという話を池上氏が振ります。
ホセムヒカ氏は以下のように語りました。
何のための時間でしょうか?
問題は何のために時間を使うのか、ということです。
何をする時間が欲しいのですか?
子どもと過ごす時間?家族と過ごす時間?友人と過ごす時間?あるいは自分の人生を生きる時間ですか?
それならOKです。
それとも、もっと働いてもっとお金を稼ぐための時間が欲しいのですか?
それは消費社会に支配されています。
人生は一度きりで、瞬く間に過ぎていきます。人間としての時間をどう使うべきか、人生は時計のようなものです。ぜんまいはやがて止まります。
だから何に時間を使うのか、一人一人が自分に問いかけるべきなのです。
なぜなら生きることは死に向かうことだから。
これは変えようの無い事実であり、私達の存在において、最大事なことなのです。
続けて次のようなことも語ります。
富が幸福をもたらすと思わないでください。
比較的豊かになると、失うことへの恐怖が生まれます。富を失うことへの恐れが。
そうするとお金があっても幸せを感じられません。失うことを恐れるからです。
これがまさに中流階級の苦悩なのです。
目標に向かって前進し戦う者は、恐れるものがないのでとても幸福です。なぜなら希望があるから。
幸せであるということは、生きていることに心から満足していることです。
毎日太陽が昇るのを見て感謝する。
幸せとは人生を愛し、憎まないこと。
でもそのためには大義が必要で、情熱を傾ける何かが必要なのです。
まとめ
いかがでしたか?
対談の内容としてはほんの一部となってしまうのですが、ご紹介させてもらいました。
それにしても、ホセムヒカ氏の言葉というのは、一つ一つが心に響いてくる感じがしますよね。
この対談を生で見ることができた人は、とても貴重な体験ができたでしょうね。羨ましいかぎりです。
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